みなさん、トラピストビールをご存知ですか?

トラピストビールとは、「トラピスト修道院、厳律シトー修道会にて修道僧により醸造、管理されているビール」のことです。修道士のビール(Abbey beer)というのはヨーロッパ中にたくさんありますが、その中でもトラピスト修道院によりつくられているビールだけをトラピストビールと言います。実際にはオランダに1か所、ベルギーに6か所、合計7か所しかありません。

ベルギーはビールの本場のドイツやチェコ、オランダとは特色が異なり、ピルスナービール以外のビールが多く、種類は1000種類以上もあり、独特なものが多いです。ベルギービールは香り良く、アルコール度数も高く、専用のグラスで、ワインのように香りや味を1口ずつ確かめながら飲むものが多いです。

ベルギーにビールが普及したのは、トラピストビールのおかげです。トラピストビールから派生してベルギー中においしいビールが作られ、飲まれるようになったと言われています。

当時ヨーロッパでは生水からペスト、コレラに感染したので、水の代わりにビールやワインを飲んでいました。トラピスト修道士たちは断食など厳しい修行に耐えながら、しかしビールだけは断食中にも飲むことができました。
ビールは「液体のパン」と呼ばれ、修道士たちの食事の代わりだったのです。

今では日本でもトラピストビールが輸入され飲めるようになったようです。アルバートハインなどのスーパーにもトラピストビールを置いていますので是非飲んでみてください。トラピストビールは全て瓶詰のビールです。缶ビールを作るなど、おぞましい。。。と考えているようで、品質にこだわるため瓶ビールのみです。

そして、我々Amstelveen市民としては、土日で行ける距離にトラピスト修道会がありますので、是非訪問してみてください。ただし、通常は中に入れないところもあります。
以下にトラピスト修道会、トラピストビールを作っている7か所について紹介します。


trappistmap

(1)Chimay, シメイ - (スクールモン修道院)
Rue de Poteaupre 5,5353 Bourlers
→シメイは、7つの中では最も生産量が多く、商業的に最も成功しています。広告などでもよく見られ、スーパーなどでも売られています。ビール博物館を併設したカフェがあり、シメイビールやグッズを買うことができます。近くのスクールモン修道院内見学可能。

(2)Orval, オルヴァル - (オルヴァル修道院)
6823 Villers devant Orval
→1070年から1種類のみのビールを作り続けています。酸味のある独特な味が特徴。修道士たちは、味が独特なので初めて飲む人には不味いと思われるかもしれない、と言っています。好きになると病み付きになる世界で唯一の味わいのビールです。通常はビール醸造所など入場不可。ただし年に1度のOpen-dayには見学可能。2015年は9月18日(金)、19日(土)の2日間がOpen-day(8:30-16:00)。
http://www.orval.be/en/home/Abbey

(3)Rochefort, ロシュフォール - (サン・レミ修道院)
B-5580 Rochefort
→ビールの醸造法、製法は公開されておらず、醸造所の一般公開も行われていません。行ってみたところ、修道院内の見学はさせてもらうことができました。

(4)Westvleteren, ウェストフレテレン - (シント・シクスタス修道院)
Donkerstraat 12,B - 8640 Westvleteren
→7つのトラピストビールの中で、最も入手困難、飲むことが困難なビールで「幻のビール」と呼ばれています。世界大会で金賞受賞の経験あり。店には一切卸さず、この修道院併設カフェでのみ飲むことができます。転売させないため、販売は電話予約のみ、ただし電話は非常にかかりにくく、私は毎日電話しましたが1度も繋がりませんでした。もし運よくつながれば、2ケースまで買うことができます。時間指定されるので、その時間に修道会に行って買います。さらに車のナンバープレートを記録され、同じ車は2か月出入り禁止。徹底的に販売を制限しています。東京でこのビールを出してくるバーがあるそうですが、1杯=8000円です。
以下3種類のビールがあります。お勧めはエクストラ8とアブト12。
ブロンド (Westvleteren Blond)アルコール度5.8%
エクストラ8 (Westvleteren Extra8)アルコール度8%
アブト12 (Westvleteren Abt12)アルコール度10.2%

(5)Westmalle, ウェストマール - (ウェストマール修道院)
Antwerpsesteenweg 496,B-2390 Westmalle
→上記ウエストフレテレンと同じ酵母を使用。スーパーでも売られているおなじみのトラピストビール。


(6)Achel, アヘル - (ベネジクトゥス修道院)
De Kluis 1, 3930 Hamont-Achel
→7つのトラピストビールの中ではもっとも新しい修道院。修道院内見学可能。併設したカフェレストランで食事とビールを飲むことができます。修道院敷地内にオランダとベルギーの国境があります。ビール醸造所はぎりぎりベルギー側。


(7)La Trappe, ラ・トラッペ - (コニングスホーヴェン修道院)
Eindhovenseweg 3, Berkel-Enschot, PO Box 394,5000 AJ Tilburg
→7つのトラピストビールのうち、唯一のオランダ国内にある修道院。1996年、高齢化と人手不足から民間ビール会社Bavariaと提携してビールを作り続けました。しかし修道士がビールつくりをしていないという理由から、トラピストビールの名称とロゴの使用を禁止されました。話し合いにより、他のトラピスト修道会から毎日修道した数時間来て指導するということで2005年からトラピストビールに復帰しました。
ツアーにより1時間の見学ができます。併設したカフェで飲むことができ、土産なども買うことができます。

それぞれのトラピスト修道会に、実際訪問してきましたので、順次ご紹介していきます!